北陸新幹線金沢開業まであと一年   2年間の歩み   H26.3


 平成26年3月23日(日)午後1時より中央公民館大ホールにおいて「北陸新幹線
フォーラムin あわら」が開催されました。

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構の中川宏氏による北陸新幹線の現状報告、立教
大学観光学部特任教授の清水愼一氏による基調講演、「金沢開業カウントダウン!
このチャンスをどう活かす!?」のテーマでパネルディスカッションが行なわれました。
 コーディネーターには福井県立大学地域経済研究所講師の江川誠一先生、私
(白和荘女将)もあわら温泉検討会の代表としてパネリストとして登壇させていただき
ました。

 2012年6月に金沢−敦賀間の工事が認可され、昭和48年の整備計画決定から
39年目にして、ようやく福井県民の悲願がかなえられました。
 平成27年3月金沢開業の際には、多くの観光客が北陸を訪れると予想されています。
 どうすればあわら温泉に観光客を呼び込むことができるのかを考えました。
 
 北陸新幹線フォーラムinあわら

    清水先生との出会い

 思い返せばここから・・でした。

 平成23年11月24日(木)芦原温泉旅館会館大会議室において、福井銀行主催の
「あわら温泉誘客セミナー」が開催されました。
 あわら温泉を始めとする地域の魅力再生と活性化を図ることを目的に、「北陸新幹線
金沢開業に向けて、取り組まなければならないこと」と題し、株式会社ツーリズム・
マーケティング研究所顧問 清水愼一氏が北陸新幹線金沢開業に向けた周辺地域の
取組みについて講演されました。

 先生は立教大学で教鞭をとられながら、各地で地元若手の勉強会をベースに観光地
の再生をされてきた実績をお持ちでした。

 その内容は衝撃的で簡潔。滞在交流型観光の提案や二次交通の充実、女性や首都
圏をターゲットにした「人」を前面に押し出したソフト作りといった戦略などを提言。
 顔の見える関係を築いていくことが重要であると強調されました。

 清水先生との出会い 旅館会館
 八木旅館にて 清水先生を囲んで べにや旅館での活性化委員会   その後、清水先生の好意で定期的に意見交換を
行う機会をいただけました。

 また旅館組合青年部や女将の会の有志が集まり、
活性化委員会と称し、今ある行事の洗い直し、
イベントとの関わり方などの見直しなどを続けました。


   福岡・湯布院 視察研修

 平成25年7月9日(火)から11日(木)には清水先生推薦の九州湯布院に
視察に行ってまいりました。
 参加は女将8名に八木社長、あわら市長や観光商工課の武田さん久保さん
にも同行していただきました。

 福岡空港から博多到着後、JR九州ビルマネジメント(株)町社長を訪問。
 町社長はJR九州在職時、観光列車の仕掛け人として活躍。
 九州の鉄道活用例を紹介していただきながら、観光誘致を成功させる方法を
お伺いしました。
 やはり昔からある伝統というブランド力、人材づくりの重要性を上げられ、
「ありがとう」の一言を「住民全員」が言える「あわら温泉」になれとエールを
送ってくださいました。

 翌日はJR九州の観光列車「ゆふいんの森号」に乗車し由布院温泉へ。
 街を散策後、由布市役所を訪問しました。

 市長からは別府温泉と一線を画す観光行政について説明をいただきました。
 由布院温泉は、以前より亀の井別荘の中谷氏や玉の湯の溝口氏のリーダー
シップで西ドイツの保養温泉地を目指した経緯があります。
 そして、大型ホテルや歓楽街はなく、バブル期も開発計画に抵抗、女性が訪れた
くなるような環境整備や街づくりを続けてきたことが功を奏しました。

 夕方からは桑野和泉観光協会長やメンバーの方々と懇親会を行いました。
 由布院温泉は安定した人気のある現在も、様々な問題に対して話し合いを
持ち続け、清水先生の助言を受けながら温泉地のあり方を模索していると
説明されました。
 様々な職種の人たちが集まり、自由に意見を話し合う姿はとても羨ましいもの
でした。

 翌日は玉の湯 溝口薫平会長直々にお話を伺うことができました。
 話の中で、バブル期の芦原温泉を視察に来られ羨ましいとさえ思った・・という
言葉が印象に残りました。
 バブル景気に旅館の大型化を進めたあわら温泉。
 そのバブル景気を拒否した由布院温泉。
    
 明日から博多山笠が始まる・・博多駅
 JR九州ビルマネジメント 町社長
 博多の街の案内役 街なびちゃん
 経済と観光地の深い関わりを
改めて考えさせられました。

 足湯などの街の景観、整備、
街のにぎわい創出の方法など
学ぶことができ、大変有意義な
研修となりました。
 由布市役所 市長を囲んで・・  由布院温泉の有志達と懇親会 南の風にて・・  玉の湯 溝口薫平氏と清水先生を囲んで・・


   福井県の取り組み

 平成24年11月9日(金)・10日(土)JR大宮駅において、「恐竜」と「かに」をデザインした大型のフラッグ
広告が掲げられました。

 北陸新幹線が開通すればハブ駅になるであろう大宮駅で、北関東、信越など沿線エリアからの誘客増を
図るためで、女将の会も同行。
 平成25年8月2日(金)にはJR東京駅においても福井県の観光PRに努めて参りました。

 11月27日(水)には福井県観光PRビデオにも声をかけていただき、福井県出身の映像作家 清水康彦
氏による撮影が行われました。

 後発ながら福井県公認のゆるキャラも誕生。恐竜ブランドを前面に押し出した戦略を始めました。   

 また2次交通ついても様々な実証実験を行い、金沢駅から東尋坊や永平寺、恐竜博物館といった核となる
観光地にスムーズに移動する手段の模索を行いました。
 平成26年度においても直通バスや乗り捨てレンタカーの導入など検討していく予定のようです。  

 女将全員が「利き酒師」の資格を取得できたことも、芦原温泉統一のおもてなしを勉強した「おもてなし研修
セミナー」もすべて県のバックアップのおかげです。

 越前ガニの巨大フラッグ 大宮駅  福井県公認ゆるキャラ ラプト君と福井県知事  あわら温泉直通バス出発式  金沢駅


    うまし国越前あわらフェア

 平成26年2月14日から16日にかけて関東地方は記録的な大雪に見舞われました。
 その交通網は雪に対しては非常にもろく、各地の被害は甚大でした。

 その翌日の2月17日(月)夕方5時半よりホテルニューオータニ 鶴東の間に於いて「うまし国越前あわら
フェア」が開催されました。
 北陸新幹線の延伸開業に向けて首都圏からの観光客を呼び込むためにあわら市が単独で行いました。
 フェアには、あわら市観光協会、商工会、JA花咲ふくい、芦親会、芸妓組合などが参加。
 旅行、行政関係者など約200名をご招待し、ブランド米「花あかり」などの地元食材をふんだんに使った
料理や地酒でおもてなししました
 橋本市長のトップセールスの後、あわら市ゆかりのゲストの方々にご挨拶をいただき、私たち女将の会も
福井県酒造組合の南部会長とともにステージに登壇。
 女将全員「利き酒師」であることをPRしました。
 関西の奥座敷として利用されてきたあわら市が首都圏での知名度向上を図るために一致団結。
 稲田大臣も駆けつけてくださり、大いに会場は盛り上がりました。

 前日までの雪の影響で、物流がストップ。
 芦親会が丹精込めた「ブリ大根」や吉村農園のさつまいも「とみつ金時」、グランドホテル女将の荷物など
が会場に届かず苦慮したことも良い思い出です。

 観光協会や観光商工課の皆さんの周到な準備や進行に心よりお礼を申し上げたいと思います。

 また後日女将の会は、招待者の中の東京新聞の取材を受け、3月25日付けの東京新聞に大きく特集
されました。

 ホテルニューオータニ高橋総料理長 あわら市出身  あわら温泉女将の会ステージPR  あわらの地元食材を使用したお料理  福井と言えば・・おろし蕎麦
 福井の地酒でおもてなし 南部会長と・・  湯巡権三くん  福井県選出 稲田大臣を囲んで・・  東京新聞取材


   あわら市CM撮影

 3月14日(金)あわら市のPRコマーシャル(CM)の撮影が温泉街を中心に行われ
ました。
 30秒間のCM2本を制作し、首都圏の駅で流したり、PR活動で使用するほか、
インターネットで配信していく予定だそうです。

 女将4人もつるやさんの前で福井弁のセリフで撮影。
 映画「サクラサク」を手掛けた田中光敏監督が上手に気持ちをもりあげてくれます。
 意外に早めの「OK」をいただきホッとしました。
 こちらも出来上がりが楽しみです。

 あわら市PRコマーシャル
 おかげさまで女将の会は皆様の力をお借りして一番良い役回りをさせていただいていると思っています。 
 北陸新幹線金沢開業まであと1年。
 道半ばどころかまだまだ問題山積です。

 先日、5期20年にわたり金沢市長を務められた山出 保 氏の話を耳にしました。
 先般「金沢の気骨」という本を出版されたそうで、今の金沢の景観は山出前市長なしでは成しえなかった
と言っても過言ではないようです。
 金沢21世紀美術館などの建設は有名ですが、ラブホテルを買い取って緑地化したり、せせらぎ通りの
駐車スペースであった水路の蓋を取り払って景観整備を行い、大人の街的な商店街に変貌させた徹底
ぶりには感心しました。
 地元の反対はどれだけであったろうと推測します。
 ですが今は、にぎわい創出、昔からあったコミュニティの復活と誰もが楽しめる空間が完成しました。

 私たちのあわら市もそんな風になれるでしょうか?
 先日の「北陸新幹線フォーラムin あわら」で清水先生が締めくくりました。

 「住んでよし 訪れてよしのまちづくり」

 しっかりと目指していきたいと思います。