10年目の米作り・酒造り「女将」   R5.5~R6

 10年目の振り返りをするときに避けて通れない出来事があります。
 令和6年元旦に起こった「能登半島地震」・・震度7

 晴天に恵まれた穏やかなお正月の午後4時過ぎ、「地震?いつもくらいかな?」と感じた直後、いまだ
かつて経験したことのない揺れに襲われました。
 テレビからは地震警報と共に津波警報・・女性アナウンサーはテレビを見てずに逃げろと叫んでいます。
 当館でも設置してから作動したことのない警報器が鳴り響き、私自身尋常な精神でいることもできず、
お客様の誘導もおざなりになってしまいました。ハザードマップの情報も頭から飛んでしまい、海から
どれだけの距離かすら説明できません。
 館内を点検し、各旅館の情報も入ってくると、営業できるだけでもまし・・という状況が理解できました。
 あわら温泉は震度5強・・県境の地域では液状化現象も顕著で大変な被害が出ました。

 連日能登半島の惨状を伝えるテレビが放映される中、私たちは1月30日に和倉温泉の女将たちを招き、
お話を伺う場を設けました。
 宿泊者を抱える旅館の避難誘導の難しさなど、その内容は同業者にとっては本当に衝撃的でした。
 また機会があればその内容をお話したいと思います。

 2月も中旬になり能登への支援も活発化してきました。
 記録しておきたいことはたくさんあるのですが、「女将」の酒が順調に販売できていることを感謝して、
10年目を報告します。


 5月8日よりコロナも第5類となり、マスクも自由、日常もコロナ前の状態に戻りつつあります。

         

 5月23日(火)11:00~田植え

 女将9人+(青年部 みほ 撮影 ゆりえ)
 田んぼに足を踏み入れて「冷たい!」と声を上げたのは初めてでした。
 確かに晴天ではあるけど、風が冷たい。
 寒い日が続いて、かと思うと極端に暑かったり・・
 そのような気候の中で、苗の生育が思うようにいかず、今年は苗が短いとは聞いていました。
 田植え機も難しい中で、手植えだけを行いました。
 終了後は、久しぶりに剣岳そばを味わい、コロナが落ち着いてきたことを実感しました。
 残りは、27日土曜日に田植え機を使って無事終了しました。

 今年は6月には日照不足、その後7月末から9月末までは体温より高い気温が続き農家さんも大変でした。
 となると、稲の生育にも支障をきたし、バラツキがあるそう。

 
        

 10月6日(金)11:00~稲刈り

 女将7人
 当日は曇天 何とか雨が降る前に作業開始。
 やはり少し刈り取りが早かったか?
 ですが、10年目アニバーサリーの「女将」になる酒米。丁寧に刈り取りします。
 一年ぶりだとまた稲の束ね方忘れます。少し雨がぱらついてきました。
 ひどくなる前に終わらせましたが、思うような量は刈り取りできず残念。

 剣岳ファームさんの暖かいコーヒーでまったり和みます。
 久保田酒造さんからは、今年は5500本(甘口1500本辛口4000本)仕込みたいという話を聞いて、
ほぼコロナ前に戻ったように感じました。
 北陸新幹線敦賀開業や様々なイベントに出番も増えそうですし、OKAMInoAWAも順調です。
 終了後はなかやで焼肉ランチ。そこでもこれからの活動の話に余念がありません。

 
            

 11月15日(水)10:30 仲添え

 女将1人+(青年部 ゆりえ)
 11月8日の北陸DC全国宣伝販売促進会議を無事終了し、7日から(6日は時化)越前蟹漁が始まり
忙しさもありますが、並行してやらないといけない雑事が多すぎて、蔵元のスケジュールに全く予定が
合いません。
 どうしても仕込みに行かなくてはと、初めてとなる仲添えに立ち会ってきました。
 杜氏二人が16番ホーロータンクの上に乗って櫂棒を上下させています。
 これは辛口。一升瓶で2000本仕込めます。
 先ほど蒸した酒米を、ホースを使って空気圧で天井に上げて、タンクに入れて撹拌します。
 とても単調な作業ですが大事な工程です。
 機械を使った後の洗浄作業もとても細かく、細菌の繁殖を防ぐため気を遣う作業となります。
 明日は留添え、醪をさらに発酵させて搾りを迎えます。

          

 12月4日(月)11:00~ 上槽

 女将5人
 一日のうち目まぐるしく天気が変化する福井の冬らしい寒い日が続いたあとの晴天の日
 甘口の初搾り、醪を酒と粕に分離する上槽を行いました。
 私たちが到着すると、すでにサーマルタンクから圧搾機を通してタンクに黄緑色に輝く原酒が溜まっています。
 青みがかって見えるのは麹の力・・徐々に黄色く変化していきます。
 原酒のアルコール度は17.5度 いつもより香りがたっています。
 今年は何といっても夏の高温続きで、酒米が固く、米が水に溶けにくいといった問題も発生し、酒母づくりに
おいて中温速醸を採用しました。
 仕込み温度を高めにすることで打瀬と前暖気のプロセスを飛ばし、温度を維持したまま膨れ・湧付きまで
持っていくため、普通14日間を要するところ7日間で酒母ができ上ります。
 仲添えに出向いたとき暖機樽なるものも見せてもらいました。
 いわゆる湯たんぽのようなもの・・酒母づくりも複雑だなぁと感じたものでした。

 蔵元が利き酒をします。
 11月1日から始めた酒は・・
 「メロンのような味がします。ここ数年で一番良い出来。味がまとまりました。」と評してくれました。
 720ml換算で甘口1000本辛口4000本、スパークリング日本酒用に甘口500本分を使用して
1000本製造します。

          

 12月21日 お披露目会

 女将8人
 今年は絶対北陸新幹線開業バージョンの設えにするぞ!と心に決めてました 笑
 前日から、坂井農林総合事務所の宮前さんとあわら市農林水産課の荒谷君と力を合わせて準備です。
 北陸新幹線W7系の模型やパネル、情熱駅長の任命証も・・。
 ミナミ園芸さんのお花は、東京と敦賀がつながるイメージでぴったりです。
 後々この画像があわら市の広報誌1月号の表紙を飾ることになります。
 今年は10年目アニバーサリーなので10年分の私たちを振り返り、しっかりとご来賓やマスコミの方々に
軌跡をお話させていただきました。
 もちろん今年の酒の蔵元の講評もいただきました。

   甘口  予定より辛くなった 少しブレンドした方がよさそう
        香りが控えめ メロンの香り やわらかい味
        心地よい舌ざわり ずっと口に含んでいたい
        飲み込んだ時余韻が残る 野菜に併せたい
 
   辛口  甘口より香りが弱め
        口に含んだ時涼やかな刺すようような感じ
        苦みを感じるがひと月もすると消える
        切れがよい 肉と併せたい(臭みを消す)     とのお話でした。

 お披露目会の最後に、初代プリジェクトリーダーのまつや千千女将からの気持ちを伝えさせていただきました。

  「私達が描いていた夢 このお酒を芦原の宝にするが叶いつつあります。
   ますます磨きをかけて頂きたいと思っています。
   このお酒はまさに芦原の救世「酒」です。これからも皆様に愛され続けられますように。あわらぶ❤️」

         

 令和6年2月7日(水)

 ふるさとの日・・福井県庁において「福井県文化奨励賞」を受賞させていただきました。
 女将の酒を造り続けていることが功績の一つとなっています。
 大賞や功労賞と共に、今後も期待される若手の芸術家の皆さんと同じ賞だ・・ということは・・
もっともっと頑張れっていうことですよね・・。

 3月16日(土)・・記念すべき開業の日を迎えます。
 当日もいろいろなお役目を仰せつかっております。現在もマスコミ対応が凄いことになっています。
 やはり内容は「女将」がメインとなります。
 本当に10年目を迎えるお酒がこのような好機に出逢えたことを本当にうれしく思います。

 これからも「女将」が羽ばたいてくれることを願いながら、10年目のご報告とさせていただきます。
 私たちのそばで多くの方々に優しく支えていただきました。
 皆様のおかげです。
 心より感謝申し上げます。