女将の会研修旅行 もの作りと紫式部を訪ねて(越前市・鯖江市) R6.6.18

 今年の研修旅行はどこに行こう。
 能登地震の被災地を訪ねるのはどうだろうか・・北陸新幹線金沢敦賀間も開業した・・
 でも今、福井県を訪れるお客様に何を知ってもらいたいかと考えました。

 まさにNHK大河ドラマ「光る君へ」で武生の地が放映されるこの時期に、紫式部が手にとったであろう越前和紙
や眺めていた日野山の景色を訪ねてはどうだろうと研修先を選びました。
 幹事はグランディア芳泉女将とべにや女将。女将11名と観光協会津田次長で行ってまいりました。

 8時半に旅館会館を出発。あいにくの雨模様です。前日からはずいぶん気温も下がってます。

 出発して1時間ほどで「和紙屋」の杉原商店に到着しました。
 こちらは和紙の企画や販売をしている店舗になります。
 ご自宅の築100年の蔵を改装したそうで、おしゃれでスタイリッシュな内装です。
 扱う商品も斬新で、ミラノデザインウィーク2024のレクサス海外向け販売に間接照明用として採用された和紙の
デザインもされたそう。越前和紙によってつくられた衣装スクリーンは伝統的な職人技術と最先端のテクノロジー
を融合させて、移ろい変わる水平線の情景を映し出しているとのことでした。

 杉原社長は、私たちのためにたくさんの越前和紙の知識をレクチャーしてくださいました。
 ユネスコの世界遺産に登録にならなかった経緯、それすら気にならない越前和紙のクオリティや歴史。
 先日、開催されていた「横山大観展」(福井県立美術館)で紹介されていた大観の岩野平三郎宛ての書簡の話
にも及び、越前和紙が日本画家たちとのやり取りによってどれだけ進化していったかなど興味深いお話を伺う
ことができました。

     
       

 杉原商店を出て10分ほど移動して岩野平三郎製紙所を訪ねました。
 岩野麻貴子社長とご挨拶。
 杉原社長も同行ですが、大人の事情で中に入れないそうです 笑
 伝統工芸士 玉村秋子さんに工場内を案内してもらいました。80歳にして現役の職工です。
 「秋ちゃんって呼んで!」ということで、その話術でグイグイ繊細な作業や、苦労話に私たちを引き込みます。
 (福井弁は・・つるや女将には理解不能でしたが・・笑)

 工場では京都を拠点としている和紙アーティスト堀木エリ子氏が作業中でした。
 堀木氏は北陸新幹線越前たけふ駅に和紙の作品が飾られています。
 岩野氏に和紙作成を習い、デザインされたその作品で越前和紙を有名にした方といってもよいと言われて
います。
 工場内は芸術家が醸し出すピリピリとした空気が漂い、声を出すこともはばかられる雰囲気・・ 
 (製作現場には杉原社長は立ち入れないということだそうです。)

 案内を終えて、秋ちゃんに「紙漉きの歌」を聞かせていただきました。
 朗々と歌い上げるその物悲しい曲調に感動、涙する女将もいました。
 「女は辛抱強いさけ、紙漉きができるんや」紙漉きの神様「川上御前」が女性の神様という所以なのでしょう。

       

 やはり岡太(おかもと)神社・大瀧神社への参拝は必須です。
 この頃には雨も上がり、水を含んだ檜皮葺きの屋根の社殿がますます霊験あらたかで厳かに感じられます。
 こちらの神社には紙祖神「川上御前」が祀られています。(どちらかというと岡太神社です。)
 事前に杉原社長から、なぜこの神社に2つの名前があるのかという話はレクチャーされており、話せば長いとも
言われているので割愛です。
 杉の大木がそそり立つ敷地内はパワースポットのように凛としています。

   
       

 和紙を離れ、ナイフビレッジに移動です。 ここは越前打刃物の共同工房。
 到着早々に包丁買ってる女将がいました 笑
 館内を案内していただき、お昼時間になり作業の様子はあまり見学できませんでしたが、工房内の機械類は
圧巻でした。
 建設当時の経緯や歴史など詳細に説明されています。
 建物の上には700年前にこの地で刀剣制作した「千代鶴国安」の真っ赤な神棚が宙吊りで設けられています。

 新館には福井県出身で医学博士にして大阪大学と名古屋市立大学の名誉教授、デザインディレクターでもある
川崎和男氏による作品の展示室があり、思わず歓声が上がりました。
 天地が鏡張りで間にナイフが整然と並び、各々が反射した幻想的な空間は、写し出された自分自身が永遠に
繰り返されています。
 ものづくりは芸術と隣り合わせなんだと・・追及の先には美しさを兼ね備えるのだと・・
 切れ味抜群な包丁を購入した女将・・なにか美味しいもん作ってくれるそうです。 
いや見せてくれるだけか・・笑
 
  
       

 昼食は(O-edo+ オーエドプラス)新感覚寿司「WASARA」をセレクト
 元々はお寿司屋さんということでネタは新鮮。それらを斬新なアレンジで食べ方自由自在。
ワクワクしながらいただきました。
 カフェメニューも充実していて、ピスタチオ豆乳ラテ・・美味しかった。
 こちらはマフィンのテイクアウトもできるのですぐ物色し、ほぼ全員お買い求めです。

       

 お腹一杯になったところで紫式部公園と紫ゆかりの館に移動です。
 こちらでは事前に伺うことをお伝えしたら龍田越前市副市長(観光協会長)と学芸員の方がお出迎えしてください
ました。

 紫ゆかりの館は紫式部と国府資料館で紫式部が越前で過ごした様子がわかります。
 大河ドラマスタッフも何度も足を運んで資料として確認に来られたようです。

 すぐお隣は紫式部公園で金色の紫式部像が輝いています。
 視線の先は霊峰日野山、すばらしい借景で平安時代の趣が感じられます。
 池に浮かぶような配置の釣殿には机が置かれ硯と筆も・・。貴族たちは花や月を愛でて宴を楽しんだことでしょう。
もちろん座ってみました。歌を詠んだフリもしてみました。

 光る君へ越前大河ドラマ館「しきぶきぶんミュージアム」までは散策しながら歩ける距離ですがバスで移動。
 こちらでもドラマ館館長がお出迎えしてくださいました。入口では、まひろ、為時、道長がお出迎えです。
 今まさにドラマが越前の回で、大国としての位置付けの役割や松原客館があったであろう場所、登場人物の確認
など女将みんな楽しそうです。
 お買い物にも余念がなく、お土産を物色です。副市長のお気遣い本当にうれしかったです。

   
       

 武生から鯖江市に移動。越前漆器を訪ねます。
 河和田塗 漆琳堂さんを訪ねました。器が素敵です。食洗器対応で素敵な色合いの器が並びます。
 旅館使いの器を選ぶのも楽しいですね。

 少し離れたHacoaさんにも立ち寄りました。
 こちらは木地職人による木製雑貨店で、こちらもセンス抜群。
 いろいろな作品は名前を刻印でき、贈り物にも最適です。
 つるや女将は旅館で使用する桜の木で作られた勘定盆をオーダー。
 旅館でのこだわりってすてきだなぁと思いました。

 
       

 さて・・高速を使ってあわら温泉に向かいます。
 定刻通り午後6時頃旅館組合に到着。仕事に向かう女将、休暇をもらってる女将。
 由紀女将と知栄美若女将はご実家近辺、思いも一入だったようで、始終越前市と鯖江市の良いところを
話してくれていました。お疲れさまでした。

 今日研修した内容は各旅館に持ち帰り、お客様の観光などに役立てたいと思います。
 お世話になりました皆様ありがとうございました。